お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
理事長より新年のご挨拶
新年のお慶びを申し上げます。本年はお家元華甲の年、重ねて心よりお慶び申し上げます。
私たち遠州流茶道にご縁を戴く者として、日本を否、世界の文化を代表する、心からご尊敬する遠州流茶道十三世小堀宗実様をお家元と仰ぐことができますことを、大いなる誇り、喜びと光栄に存じますとともに感謝申し上げます。
昨年は茶道界としては、初のお家元ご家族とお家元の、茶道を通しての一年の行事、美しいご家族の姿、家元としてのお家元、ご家族のあり方、教育、思いやり等々、四百年の伝統に裏づけられた、調和のある無理のない感動的な温かい日常生活、すべてを範としたい映画「父は家元」の興行も大反響のもとに終えることができました。お家元ご家族は私たち門弟のみならず、日本国民のお手本と存じます。
他流の方々からも大きな賛辞が寄せられ、また文化に関わる日本を代表する方々からも驚きの眼をもって評価を戴きました。今、世界中からクールジャパンに目が向けられ、話題になっています。クールジャパンは日本のオリジナル文化です。それは江戸、三百年の鎖国の中で熟成された発酵文化です。お米が発酵して酒となるように茶道は江戸期を通して、特に徳川幕府茶道指南として活躍された小堀遠州公によって、世界に比類のない総合文化として大成されました。遠州公によって小間の茶道から書院の茶道、広間の活用によって建築、作庭、表具、茶道具、畳表の普及と全国大名の交流、おもてなしの発展となりました。さらに武家、商人、名主等々に深く浸透し、徳川文化の中心であるだけでなく文化による経済の発展をもたらし、家康公、秀忠公、家光公の間に、人口は1.5倍、経済は2倍以上に成長しました。文化による経済発展を成し遂げ、さらに大衆文化の普及、発展にも貢献することになりました。ちなみに黒田長政公が遠州公にお願いして求めた文琳茶入は、2千両。現在の価格で2億円です。全国の大名が求めた茶道具と関連産業が、いかに経済の波及効果をもたらしたか。文化による経済発展こそ、真の国民の繁栄の源となるのです。
クールジャパンを代表する茶道は、世界の注目を集めています。茶の湯によるもてなしこそが、外国からのお客様に感動を与えます。2020年の東京オリンピックを目標に茶道でおもてなしのできる国造り、人造りが大切な課題です。茶道の究極の目的は、悟りの体得です。迷いからの解脱です。
特に東京にお住まいのあるお家元と東京支部の活躍が、大いに期待されます。全国の支部もそれに負けないように、普及活動に力を注いでいただきたいと存じます。
文化立国の先頭を走る遠州流茶道の使命は、まことに大きいものです。
さて、本年の全国大会は、記念すべき50回大会です。我国における茶の湯発祥の地、臨済禅創始者榮西禅師建立の聖福禅寺、弘法大師発願による真言密教最初の寺である東長密厳寺、ホテルオークラ福岡での茶席で楽しんでいただきたいと存じます。テーマ「武家茶道と綺麗さびの心をたずねて」のもとに福岡支部が総力で皆さまをお迎えいたします。
遠州流茶道の門弟としての誇りと使命を胸に刻み、各支部の皆さんのそれぞれのご活躍によって、本年が飛躍の年となりますことを大いに期待いたします。
ご健康とお仕合わせを衷心より祈念申し上げます。
平成28年元旦
遠州流茶道連盟
理事長 長谷川 宗裕