あけましておめでとうございます。
昨年は遠州流茶道にとって、言葉では言い尽くせないほど素晴らしい一年となりました。お家元のお慶びを会員の皆様と分かち合えたことは、きっと一人ひとりの未来に大きな力とエネルギーをもたらしたことでしょう。
伝統とは常に最先端であり、真の伝統はつねに新しさを宿すものです。それは生命の輝きそのものであり、新鮮さや驚き、楽しさ、喜び、気づき、やる気、そして人を一つにする力を生み出します。お家元の古稀のお祝い、宗翔さんの結婚式に出席された方々からお話を伺い、改めて強く感じた次第です。連盟理事長として、これほど嬉しく誇らしいことはありません。
人生は経済生活に支えられていますが、生命の価値は決してお金に換えることはできません。「一兆円あげるから死んでくれ」と言われて応じる人はいないでしょう。一兆円は、一億円のロールスロイス一万台分に相当します。しかし、私たちはその一兆円に値する生き方をしてきたでしょうか。
生命はお金に代え難い尊いものです。では、経済生活は何のためにあるのか。それは、生命の価値を高めるためにあるのではないでしょうか。私自身の生命も、目の前にいる方の生命も、どちらもかけがえのない尊い存在です。目の前の人を大切にするためには、まず自らの生命の価値を高めなければなりません。お金では測れない内面的価値を磨き、その価値によって隣人を大切にすること──かけがえのない生命で、かけがえのない人を大切にすることこそ、真の人生の価値だと思います。
茶道を身につけることは、精神的価値を高め、敬い・感謝・礼儀の心を養い、豊かな人生を育み、まわりを明るく幸せへと導いていくことでしょう。
明治初期、有色人種への差別が依然として残る時代に、岡倉天心はボストンを訪れました。彼が出席したパーティーが「最高の評価を受けた」と語られるのは、天心が披露した茶の湯のおもてなし―ティーセレモニー―が特に高く評価されたことを示しています。アジアの文化遺産への関心が最高潮に達していた当時、天心はボストン美術館のエキスパートに指名されました。のちに『The Book of Tea(茶の本)』を出版し、中国・日本美術部長へと就任します。ボストン市長の退任後の職が美術館館長になる時代にあって、天心がその要職を担ったことは、まさに名誉であり、特筆すべきことです。 茶道を愛し、大切にする姿勢は、人格を磨く営みにもつながる、天心の歩みは、そのことを雄弁に物語っています。
遠州流茶道を学ぶことは、豊かな人生を築く尊い道であると存じます。 今年も皆様の大いなるご活躍を期待いたします。
遠州流茶道連盟
理事長 長谷川宗裕
新年のご挨拶
更新日:2026.01.1






