謹賀新年

更新日:2014.01.1

皆様、健やかに新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

理事長より新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。
昨年は、2020 年東京オリンピック・パラリンピックが決定し、日本の美、おもてなし文化を世界の人々に親しんで戴く好機に恵まれました。


 茶の湯こそおもてなし文化の核心であり、集大成であると存じます。また、世界の心ある方々は、茶道に大きな期待を持っておられます。日本人は、皆茶道の作法が出来ると信じておられるようです。しかし現実は大きく異なり、がっかりさせることになってしまうのではないかと危惧しています。幸い七年という準備期間が与えられています。壊れゆく日本の茶道を再興して、海外の方々をお迎えするおもてなし文化を共有し、先ず世界に誇れる私たち日本人の豊かな心を磨き内外共に仕合せな社会造りを実践してはと存じます。そのことが東京オリンピック・パラリンピック成功の要となるのではないでしょうか。タイミングが良いことに私たちをお導き下さる小堀宗実お家元とご家族を中心にした映画「父は家元」の上映が2014 年1 月25 日より東京・横浜・名古屋・大阪などで始まり、遠州流茶道の魅力と醍醐味が披露されることになりました。この機会に、未だ茶の湯に親しまれていない方々に是非ご覧戴き、ご縁の輪を力強く広げてまいりましょう。


 昨年、金沢で前田家の筆頭家老本多家の現在のご当主が会長となられて遠州顕彰の会が発足し、小堀宗実お家元はじめ、地元有力者、博物館、美術館関係者、遠州流茶道門人、他流の方々が大勢参加され懇親会が行なわれました。その折、私に乾杯の音頭をとるように指名を戴き一言挨拶申し上げました。そこで話したのは、これまで金沢は小京都、公家の文化を謳ってこられましたが、実は日本を代表する武家の文化の地であるということ。東京は既に維新政府の廃仏毀釈により江戸(徳川)文化の否定、更に関東大震災での被災、大東亜戦争での大空襲により武家文化は、ほぼ壊滅の状態でした。英国、フランスより世界に比類なきものとして高い評価を受けた江戸文化を正当に守っているのは加賀百万石、金沢であるということ。金沢城をはじめとする加賀の美、金沢に伝えられた雅の文化は公家の文化ではなく、小堀遠州公による綺麗さびの文化であり、世界に誇る江戸文化は金沢の地に伝えられているということを話しました。その時は万雷の拍手を頂戴し金沢の新しい方向性が定まったとの共感をいただきました。
 小堀遠州公は、海外の美術評論家から日本のレオナルド・ダ・ビンチと評価されており、徳川の文化は今改めて世界の注目を集めています。家康公により晩年こよなく愛された駿府城の造営を任され、その功により遠州の号を戴き、二代将軍秀忠公、三代将軍家光公の茶道指南役となり徳川繁栄の基礎を造りました。茶道を通して文化を興隆し、ひいては日本全国の藩を繁栄に導きました。まさに文化による経済発展を実現されたのです。


 東京オリンピック・パラリンピックは新しい日本の方向性を指し示しています。スポーツの祭典を通して、文化の興隆と経済の発展を実現する好機でもあります。おもてなしは、世界が求める日本文化の象徴です。おもてなしは、江戸に培われた総合文化です。維新政府によって疎かにされた江戸文化の復活は今を生きる私たちの責務でもあります。フランスのシラク大統領も愛した江戸文化。今こそ江戸の復興を通して江戸文化の見直し、大衆文化の再興、歪められた江戸の再生をここ東京に拠点を置く遠州流茶道が、お家元のご指導の下に立ち上がらなければなりません。


 徳川将軍家をはじめとして江戸に生きた武士、農民、職人、商人。更に元氣な女性。衣、食、住。芸術、美術、詩歌、学問、信仰等。いずれも世界に比類のないもの、遠州公のルネッサンス的万能型教養人としての功績を範として東京から全国に発信していかねばと存じます。先ずは、東京を中心としておもてなし文化の窓を開け、全国にも呼応していこうではありませんか。

2014年元旦
遠州流茶道連盟
理事長 長谷川宗裕