綺麗さびの極み

鳥取支部/鳥取支部理事・上席家元参与


勘違いしていませんか? 茶道は地味ではありません!
~大人しい子ほど積極的になれるのが茶道の魅力~

茶人一家に生まれた古田宗祥さん。幼少期から茶道と共に育ったご自身の経験から、幼稚園や小学校などさまざまな場所で子どもたちに茶道を教えています。
また、お父さまの中尾宗澄氏と共に立礼の教室を開くなど、積極的に遠州流茶道の普及に携わっています。

-遠州流茶道を始めたきっかけを教えてください。
父(中尾宗澄氏/前本部理事長)が遠州流をこよなく愛しており、物心のつく前から遠州流の茶道がすぐそばにあったというのが正直なところです。
幼稚園の園長先生も遠州流で、卒園時に園長先生からお誘いをいただき、小学校1~3年生の時は園長先生のお宅でお稽古をつけてもらいました。そして4年生になって、父や園長先生の師である家元補佐 一庵 加須屋宗生先生のもと、正式に遠州流に入門しました。
言うなれば、父と私は“兄弟弟子”ということになりますね。

-お父さまから教えを受けたことは?
子どもの頃は父も現役で仕事をしていましたから当然ですが、退職後に自分のお稽古場を開いてからも、父に教えを受けたことはありません。きっと、親子で師弟関係を維持するのは難しいと思っていたのかも知れませんね。
お父さまを正客として迎えられた古田さん(遠州忌)確かに私も、自分のお稽古を父に見られるのはあまり心地の良いものではなかったので、父が師匠だったら、続けられていたかどうか・・・(苦笑)
最近になってから、「えっ! 親子だったの!?」と驚かれることもあります(笑)
3月の遠州忌では、父を正客として私がお点法を披露する機会を頂いたのですが、本当に幸せなひと時でした。心なしか父も、いつもより顔が綻んでいたような気がします。

-現在は、小さいお子さんたちに積極的に教えていらっしゃいますね。
物心ついた頃には茶道をやっていたので、今の自分は茶道を通じて作られたと感じています。今こうして、私が子どもたちと向き合い、お茶を続けることが、師の一庵 加須屋宗生先生始め、茶道を通じて私と関わってくれたすべての方への恩返しと思っています。

-小さいお子さんに茶道を教える時、特に気をつけていることはありますか?
まだ手も身体も小さい子どもたちですから、基本的にお点法は難しいです。上手くお茶なんて点てられませんし、帛紗捌きなどもってのほか。それよりも、お茶やお菓子を通じて、私や同席する人との関わり方を中心に教えています。
例えば「お先です」「大変、結構でございます」「ごちそうさまでした」の言葉は、必ず言うようにしています。小さい子どもというのは、新しく覚えた言葉はすぐに使いたくなるものです。最初は意味など分からなくても、使い続けていくうちに、これらは相手を思いやるための言葉なのだと、自然と気づいてくれます。また、左利きの子がいたとしても、無理やり右手を使わせることはしません。でも、自分が左手で使った箸は、きちんと右側に置こうね、と教えます。そうすれば、次の子が箸を使いやすいでしょ、と。

-子どもたちが、茶道を通して成長したな、と感じるのはどんな時ですか?
床の間に飾る花が変わっているのを見つけたり、掛軸に書かれている文字の意味や読み方に興味を持ったり、身の回りのちょっとした変化に気づけるようになった姿を見た時などは、成長を感じます。そこから、このお花は幼稚園の裏の森で摘んできたんだよ、といった具合に点と点をつなげたりしてあげることで、子どもの世界がぐっと広がっていくのも感じます。
こういった、ちょっとした気づきの積み重ねが、相手を思いやる気持ちやおもてなしの精神につながっていくのだと思います。

-小さい頃から茶道を習うメリットは、どんなことですか?
小さい子どもたちに教える古田さん一般的に言われているように、集中力が身に付くというメリットはあると思います。私自身、小学校5年生の時に、お点法をしている時には何も考えていないという“無の境地”を体感しましたから(笑)。
姿勢を始めとした所作の美しさも、小さい頃ほど差が際立ちますね。放課後のクラブ活動で教えている小学校の卒業式などに出席すると、その違いは歴然です。
でも実は、例えば引っ込み思案なお子さんだったり、大人しいお子さんだったり、そのようなお子さんこそぜひ茶道をやってみて欲しいと思っています。
茶道は、自分ですべてを行わなければなりません。もちろん、お茶会の時などは役割がありますが、一度お客さまの前に座ってお点法を始めたら、最後まで自分ひとりでやり切らなくてはなりません。お茶を点てるのもお客さまとお話しをするのも、すべて自分ひとり。
静かではありますが、決して大人しいものではないのです。
やんちゃなお子さんには落ち着いた心を学んでもらえると思います。消極的なお子さんなら、自ら動く積極性を身に着けられるでしょう。あまり感情を表に出さないお子さんでも、しっかりと心の中に溌溂とした気持ちを育むことができると思います。
茶道を通して身につくことは、本当に多いですよ。

-遠州流の特色は、どんなところですか?
所作やお点法、立ち居振る舞い、取り合わせ・・・一つひとつが美しく、総合的な美を感じます。
お道具組が豊かで、お着物も華やかなものや綺麗なものでも選べます。

-茶道の時の着物というと、加須屋先生と古田さん
 どうしても地味なイメージがありますが・・・

千家さんなどいわゆる“詫び寂び”と呼ばれる世界観は、余分なものを可能な限り削ぎ落したシンプルさが特徴です。きっと茶道と聞くと、そちらのイメージが強いのでしょうね。
でも遠州流の“綺麗さび”は、質素な中にもきらりと輝く華やかさのある世界です。だからお着物にしても、色無地だけでなく訪問着や付下げなども多く使用されます。四季折々の綺麗な着物を着ることができるのは、女性からしてみれば、大きなポイントかも知れません。
だからこそ、若い女性にも、もっともっと遠州流茶道に触れていただきたいですね。自分が最も綺麗な時に、華やかな着物を着た凛とした姿を、美しい所作で立ち振舞う姿を、たくさんの人に見てもらうことができる。
こういった経験は、女性としてのその後の人生にも、必ず生きるはずだと思います。

プロフィール

古田 宗祥(ふるた そうしょう)
出身地:鳥取県 年齢:62歳 茶道歴:52年
所属支部:鳥取支部(鳥取支部理事/上席家元参与/元青年部全国連合会理事/元遠州流茶道連盟本部理事)

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13世家元 小堀 宗実

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